PTSDの迅速なスクリーニングと評価のための言語的特徴〜メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/13

 

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状と言語的特徴との関連を調査し、言語的特徴がPTSDの迅速なスクリーニングや評価を行ううえで信頼できる指標として利用可能かを判断するため、中国・上海中医薬大学のZhenyuan Yu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2025年3月31日号の報告。

 2024年8月までに公表されたPTSDと言語的特徴との関連を調査した研究をPubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Science、Ovidデータベースより包括的に検索し、参考文献の後方トラッキングにより補強した。

 主な結果は以下のとおり。

・12件の観察研究、累積サンプルサイズ5,706例を分析に含めた。
・言語調査や単語数(LIWC)、手動コーディング、機械学習技術などさまざまな言語分析ツールを用いた研究が行われていた。
・メタ解析により、PTSD症状と有意な正の相関が認められた言語的特徴は、次のとおりであった。
【死亡関連の単語】オッズ比(OR):1.32、95%信頼区間(CI):1.10〜1.59、I2=79.4%、p=0.004
【ネガティブな感情の単語】OR:1.21、95%CI:1.11〜1.32、I2=30.5%、p<0.001
【怒りに関する単語】OR:1.14、95%CI:1.11〜1.17、I2=0.0%、p<0.001
【単語数】OR:1.20、95%CI:1.09〜1.31、I2=11.2%、p<0.001
・さらに、身体に関連する単語は、PTSDの過覚醒症状、侵入症状、回避症状と正の相関が認められた。
【過覚醒症状】OR:1.26、95%CI:1.15〜1.37、I2=0.0%、p<0.001
【侵入症状】OR:1.40、95%CI:1.16〜1.68、I2=0.0%、p<0.001
【回避症状】OR:1.29、95%CI:1.21〜1.37、I2=0.0%、p<0.001
・死亡関連の単語および単語数は、PTSDの侵入症状と正の相関が認められた。
【死亡関連の単語】OR:1.16、95%CI:1.08〜1.25、I2=0.0%、p<0.001
【単語数】OR:1.18、95%CI:1.10〜1.27、I2=0.0%、p<0.001
・悲壮感、不安、ポジティブな感情、一人称による表現、感覚、認知関連の単語とPTSD症状との間には、相関は認められなかった。

 著者らは「PTSDの迅速なスクリーニングや評価に対し、死亡関連、怒り、ネガティブ、身体に関する単語および単語数は、信頼できる指標である可能性が示唆された。ただし、さまざまな文化的背景、性別、トラウマなどとPTSD症状との関係を調査するさらなる研究が必要である」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)